ヨーロッパ退屈日記

『ヨーロッパ退屈日記』伊丹十三(新潮文庫)

新潮文庫の100冊

 

 

時代を感じる部分はある(特に女性についてとか)けど、面白い。

(前略)道に対する考え方の根本的な違い、つまり穴ぼこのある道は、道とはいえない、穴ぼこを放っておくような政治は政治とはいえない、という態度がうかがえるからです。
 同じ常識とはいえ、穴ぼこのある道は、道とはいえない、という常識と、穴ぼこのあるのがあたりまえ、という常識とは何という違いでしょう。おそらく、この差は三十年、五十年というような小さな差ではないと思うのです。

p.25 大英帝国の説得力

「想像力」という一篇、短いけど色々鋭いなと思わされる。パリの文化に対する豊かさとか、「演出、とは結局想像力で」ある、とか、「作家の想像力が一番あらわな形で出る場、というのも日常性の想像をおいてないと思う」とか。

 街、という、どんなにでも勝手気儘に穢くなりうるものが、あんなに美しいままの姿で存在し続けているとい事実、これが実に信じ難く思われるのです。
もし、シャンゼリゼの一角に銀座をそっくり再現してみたら、これは一見スラム街風に見えてくるのではなかろうか。

p.155 喰わず嫌い

 

 でも、自分の嫌いなものをあれこれ考えるのはとても愉しいことです。美的感覚とは嫌悪の集積である、と誰かがいったっけ。

p.162 わたくしのコレクション

 

一体「政治家は、先ず、優れた歴史家でなくてはならない」というようなことが、現実に通用し始めるのはいつのことであろうか。

p.179 ロンドンからの電報

 

巻末の新潮文庫の広告(?)の、『日本世間噺大系』(同じ著者)に「八瀬童子の座談会」とあるのが気になる。