『ぼくは勉強ができない』山田詠美(文春文庫)
再読。
前に読んだのはたぶん高校生のときだった。
そのときは新潮文庫だったのね。今回は、四半世紀後、というおまけみたいな序文がついており、綿矢りさの解説も載っている。
高校生の頃に読んで、秀美に憧れたわけでは特にないと思う。でもその名前は覚えていたし、いくつかの場面も。
たぶん、片親といういわゆる普通とは違う家庭で育った故に身についたものの見方、みたいなものにいくらか共感したんだと思う。それは今でもある。片親であるということで憐れまれるのは御免だし自分の悪い(と少なくとも周囲から思われるような)ところを片親であるせいにされるのは全く納得できないし腹が立つ。でも、自分のものの見方やら考え方やらに片親であることが影響しているのはたしかだ。だって、この社会では、それは自分はほかの人とは違う、ということを意味するから。ずーっと、お前は普通ではないのだと言われているようなものだから。
詩が心に染み通る。こんな時に、彼女を愛したいものだ。それなのに、無我夢中になると、詩などお呼びでなくなる。あのドアの音、すごくうるさかっただろう。きっと、彼女にとっては、一番の雑音だったのではないだろうか。ぼくの嫉妬の音。ぼくの心も叩いた。うるさかった。それなのに、この本の上に漂う静けさときたらどうだろう。外灯の明かりの下で辿る文字は、激しくもあり、悲しくもあり。けれども、決して嫌な音を立てないのだ。ひっそりと、ぼくの内側に広がるばかりなのだ。
(雑音の順位)
自分がこの本を好きかはわからない。
でもなんだか、本棚に入れておきたい、本。

