『極北の動物誌』ウィリアム・プルーイット、岩本正恵訳(ヤマケイ文庫)
好きな作家さんが推してらしたんだけど、読んでよかった。
濃密で厳しい書物。
ストリキニーネを仕込んだ動物の死体を置いておいて、それを食べた動物が死に、それをまた食べた動物が死に、……という連鎖が語られるのだけど(先住民のこどもも死んだ)、そもそも何故白人は毒餌を置くのかがわからなくて怖いのだが……。。たぶん前提知識が足りてないんだろうなあ。。
そして鼻先を上げ、口を軽く開き、そっと吠えた。すぐに子どもたちと鋼色のメスがみな立ちあがった。体をふるわせて伸ばし、鼻を触れあわせ、尾を振り、大騒ぎになったが、やがて一頭ずつためらいがちに吠えはじめ、全員が声を合わせた。
これを「吠える」と呼ぶのは貧しい表現だ。「歌う」のほうがふさわしいが、この語には人間の主観による言外の意味がつけ加えられている。われわれの言語では、なわばりを守るオスのルリツグミの好戦的なさえずりは「歌う」と表現するのに、オオカミが幸福感を表す声には「吠える」という表現しか使わないのである。
