『月と六ペンス』サマセット・モーム、金原瑞人訳(新潮文庫)
新潮文庫の100冊2019、限定プレミアムカバーで黄色地+青箔
帯も箔なんだね…!
チャールズ・ストリックランドはいやなやつだったw
わたしはこの人を、他人に無関心だとは思わなかった。敢えて傷つけるようことや気に障るようなことを言って楽しむのを、無関心とは言わないと思う。や、他人に影響されない、という点をもって無関心と言っているんだろうけど。
あとねー、ストリックランド、自分ではそう思ってないみたいだけど、滅茶苦茶ロマンチストだと思う。女は愛を信じてる(と言うとまたちょっと違うかもしれないけどひとまずこう書いておく)と思ってる辺り。(ストリックランドがそれを知っていたかはともかく)ストリックランド夫人は滅茶苦茶現実的だったのにね。
結構苛々したけど、それでも読めたのは語り手がストリックランドを「いやなやつ」と言っているからだと思う。(HEY!ポール!はむしろ肯定してたから余計苛ついたんだたぶんw)(あと、みやもとくん@HEY!ポール!は月と六ペンスの語り手に少し似てるかもしれない)
ストリックランドはいやなやつだし、ものすごくドラマチックだったり感動したりする話でもないと思う。
でも、どんどん読んでしまう小説だった。
ストリックランドはいやなやつだけど(しつこいw)(でもタヒチでの彼について語られるとき、そこにいやなやつ感はあまりない。彼みたいな人も受け入れるという点でタヒチは合っていたんだろう)、タヒチで明らかになるその美への切実さみたいなもの、彼の絵を見た人たちや語り手の反応は胸を打つ。
文章は訳の良さもあるのかな。
「ティアレ」は父につけてもらった名だった。香りのいい白い花のことだ。その匂いを一度かげば、どれだけタヒチから遠く離れようと必ず戻ってくるといわれている。
(p.303)ストリックランドの住まいには音がなかった。大気は夜に咲く白い花の香りがします。じつに美しい夜でした。
(p.327)


