シカゴ育ち

『シカゴ育ち』スチュアート・ダイベック、柴田元幸訳(白水Uブックス)

須賀敦子の『本に読まれて』で興味を持った本で珍しく絶版じゃなかったもの。

 

短編とショート・ショート。フォントも変えられていて、短編は明朝体でショート・ショートは教科書体っぽい。

「荒廃地域」の終盤と「珠玉の一作」辺りでようやく、おそらくベトナム戦争の頃ではないかと思い至った。
ポーランド移民とメキシコ移民。ポーランド語とスペイン語。(WSSを思い出してしまう…w シャークスはメキシコじゃなくてプエルトリコだけど。ポーランド移民は白人だけれどWASPではなく、裕福な集団とは言い難く、アメリカ社会の中ではむしろ差別される側、というわたしの中のイメージはWSSでついた)

名前のつけがたい空気がまとわりつくような作品だった。
眠れない夜のような、ふと目が覚めてしまった夜中のような、暗い中で目を開けているときの空気が読んでいる間ずっとそこにあるようだった。
それを、郷愁とか一言で言ってしまいたくはない。